走行中のバイク

バイク用レインウェアの選び方とポイント

バイク専用のレインウェアが必要な理由とは

バイクに乗り始めたばかりの頃は、雨が降ったらコンビニエンスストアなどで売っている安価なビニール合羽や、普段使いのアウトドア用レインコートで済ませてしまおうと考えることがあるかもしれません。しかし、バイクでの走行において、それらの簡易的な雨具では十分な役割を果たさないことがほとんどです。バイク専用に設計されたレインウェアには、ライダーが安全かつ快適に走るための独自の工夫が随所に施されています。

まず最も大きな違いは、走行風への対策です。バイクは生身で風を切って走る乗り物ですから、時速数十キロで走行している際に受ける風圧は想像以上のものになります。一般的な雨具は、歩いている状態や静止している状態を想定して作られているため、バイクのスピードで風を受けると生地が激しくバタついてしまいます。このバタつきは、長時間続くとライダーの体力を奪うだけでなく、生地そのものを急速に劣化させ、最悪の場合は破れてしまうこともあります。一方でバイク用レインウェアは、腕や胴回り、足首などにベルクロなどの調整タブがついており、体にフィットさせることでバタつきを抑える構造になっています。

また、防水性能についても大きな違いがあります。ただ雨に打たれるだけでなく、風圧によって雨粒が生地に押し付けられる形になるため、一般的な雨具よりもはるかに高い防水性能が求められます。特にフロントファスナー部分は弱点になりやすいため、バイク用では二重のフラップ構造になっていたり、水が浸入しにくい止水ファスナーが採用されていたりします。さらに、ライディングポジションを考慮した立体裁断も重要です。バイクに乗るときは前傾姿勢になったり、膝を曲げたりします。普通のコートでは背中が出てしまったり、裾が上がって足首が濡れてしまったりしますが、バイク用は背中の生地が長めに作られていたり、足元も長めに設計されていたりと、乗車姿勢でも濡れない工夫がなされているのです。

耐水圧と透湿性というスペックの見方

レインウェアを選ぶ際にカタログやタグでよく目にするのが、耐水圧と透湿性という二つの数値です。これらはレインウェアの性能を客観的に判断するための非常に重要な指標となりますので、購入前には必ずチェックしておくことをおすすめします。なんとなく値段が高いから良いものだろうと判断するのではなく、自分の走行スタイルに合った数値のものを選ぶことが、失敗しない買い物のコツです。

まず耐水圧についてですが、これは生地がどれくらいの水圧に耐えられるかを表した数値です。数値が高ければ高いほど、強い雨や強い水圧に耐えられます。一般的な傘の耐水圧が数百ミリ程度と言われていますが、バイクの場合は走行風圧がかかるため、最低でも10,000mm以上の耐水圧があるものを選ぶのが基本です。街乗りや短距離の通勤であれば10,000mmクラスでも対応できますが、高速道路を使って長距離ツーリングをする場合や、強い雨の中を長時間走る可能性がある場合は、20,000mm以上のスペックを持つ製品を選んでおくと安心感が違います。高速走行時の雨粒は弾丸のように叩きつけられますので、スペックには余裕を持たせておくのが賢明です。

次に透湿性についてです。これはウェア内部の湿気をどれだけ外に逃がすことができるかを表す数値です。雨を防ぐために気密性を高めると、どうしてもウェアの内部は自分の汗や体温で蒸れてしまいます。夏場の雨天走行などでは、雨には濡れていないのに汗で中がびしょ濡れになってしまうという本末転倒な事態になりかねません。これを防ぐのが透湿機能です。24時間で何グラムの水分を透過できるかという数値で表され、一般的には5,000g/m2/24h以上あれば快適と言われていますが、蒸れを気にする方は8,000gから10,000g以上のものを選ぶと、ベタつきなどの不快感を大幅に軽減できます。近年ではゴアテックスをはじめとした高機能素材が普及しており、防水しつつもしっかりと湿気を逃がす製品が増えています。

サイズ選びと視認性の重要性

機能面でのスペックが決まったら、次は実際に着用するためのサイズ選びとカラー選びです。ここでも普段の洋服選びとは少し違った視点を持つ必要があります。まずサイズ感ですが、レインウェアは基本的にジャケットやプロテクターの上から着るオーバーウェアであることを忘れてはいけません。普段着ているTシャツなどのサイズに合わせて買ってしまうと、いざツーリング先で雨が降ってきたときに、ライディングジャケットの上からではパツパツで着られない、あるいは動きづらくて運転に支障が出るということが起こります。

試着ができるのであれば、普段バイクに乗る時の格好の上から着てみるのがベストです。もし通販などで購入する場合は、普段のサイズよりもワンサイズ大きめのものを選ぶのが一般的なセオリーとされています。特に冬場は厚手のジャケットを着込むことになるため、少し余裕があるくらいのサイズ感が一年を通して使いやすいでしょう。ただし、あまりにも大きすぎると今度は余った生地が風でバタついてしまいますので、先述した調整タブなどでしっかりと絞れる機能がついているかどうかもあわせて確認してください。

最後に色選びについてです。バイク乗りのファッションとしては黒や迷彩柄などのクールなデザインが人気ですが、レインウェアに関しては派手な色や明るい色を選ぶことを強くおすすめします。雨の日は昼間でも空が暗く、車のドライバーからの視認性が著しく低下します。さらにシールドに水滴がついたり曇ったりすることで、周囲の状況は晴天時よりも格段に見えにくくなっています。そんな中で周囲の景色に溶け込んでしまう暗い色のウェアを着ていると、他車から見落とされて事故に巻き込まれるリスクが高まります。蛍光イエローやオレンジ、あるいは反射材リフレクターが大きく配置されているデザインなどを選ぶことは、自分の身を守るための立派な安全対策です。どうしても暗い色が好みだという場合は、反射ベストなどを別途着用するなどの工夫を凝らしてください。