アクセルやクラッチが軽くなる!ワイヤー注油の手順とコツ
ワイヤー注油が必要な理由と放置するリスク
バイクのメンテナンスというと、エンジンオイルの交換やチェーンの清掃などは意識して行う方が多いですが、意外と見落とされがちなのがワイヤー類のメンテナンスです。アクセルワイヤーやクラッチワイヤーは、ライダーの操作をバイクに伝えるための神経のような役割を果たしています。新車のうちはスムーズに動きますが、雨水やホコリが内部に侵入したり、元々塗布されていたグリスが古くなって固まったりすることで、徐々に動きが悪くなっていきます。毎日乗っていると少しずつの変化には気づきにくいものですが、久しぶりに乗ったときにクラッチが重く感じたり、アクセルの戻りが悪かったりするのは、ワイヤー内部の潤滑不足が原因であることが多いです。
この状態を放置して乗り続けると、単に操作が重くなるだけでは済みません。ワイヤー内部で金属同士が擦れ合う抵抗が増え、ワイヤー自体が摩耗して強度が低下してしまいます。最悪の場合、ツーリング先で突然クラッチワイヤーが切れて走行不能になったり、アクセルが戻らなくなって暴走したりする危険性すらあります。特にクラッチワイヤーが切れるトラブルは、出先で発生するとレッカー移動を余儀なくされるケースも多いため、定期的な注油で予防することが非常に重要です。また、操作系がスムーズに動くことは、長距離ツーリングでの疲労軽減にも直結します。重いクラッチを何百回も握るのと、軽くスムーズなクラッチを握るのでは、手首や腕への負担が雲泥の差となります。
ワイヤーインジェクターを使った注油の手順
ワイヤー注油を効率よく行うためには、ワイヤーインジェクターという専用工具を使うのがおすすめです。これは千円程度で購入できる小さな工具ですが、これがあるとないとでは作業効率が大きく変わります。まずはハンドル周りのスイッチボックスやレバーホルダーを分解し、ワイヤーのタイコ部分を露出させます。ワイヤーをレバーやスロットルから取り外したら、ワイヤーの端にインジェクターをセットします。インジェクターの穴にワイヤーを通し、ネジを締め込んでゴムパッキンを密着させ、隙間からオイルが漏れないように固定するのがコツです。
準備ができたら、インジェクターの注入口からスプレー式のワイヤーグリスや潤滑剤を注入します。このとき、勢いよく吹き込みすぎると隙間からオイルが逆流してきて周囲を汚してしまうことがあるので、ウエスでインジェクター全体を包み込むように押さえながら、少しずつ注入していくのがポイントです。注入を続けていくと、ワイヤーの反対側から汚れた古いグリスや黒い液体が押し出されてきます。最初は真っ黒な汚れが出てきますが、次第に新しい透明なオイルが出てくるようになります。これで内部の汚れが洗浄され、新しいオイルが行き渡ったことになります。もしインジェクターを使わずに作業する場合は、ワイヤーの入り口から少しずつオイルを垂らしてはワイヤーを動かし、重力で中へ浸透させていくという地道な作業が必要になります。時間がかかりますが、この方法でも注油は可能です。
定期的なメンテナンスで快適な操作感を維持しよう
ワイヤー注油は一度行えばずっと効果が続くものではありません。走行距離や保管状況にもよりますが、半年に一度や、梅雨明けのタイミングなどで定期的に行うのが理想的です。特に雨の中を走った後や、洗車で高圧洗浄機を使った後などは、ワイヤー内部に水が入ってサビの原因になりやすいため、早めのメンテナンスをおすすめします。使用するケミカルについても、ワイヤー専用のグリスを使うのがベストですが、手元にない場合は浸透性の高い防錆潤滑剤などでも代用は可能です。ただし、粘度の低い潤滑剤は流れ落ちやすいため、こまめな給油が必要になります。逆に粘度の高いグリスは長持ちしますが、冬場などの低温時に動きが重くなることがあるので、季節や好みに合わせて使い分けるのも一つの手です。
メンテナンスを行った直後は、驚くほどレバー操作が軽くなるのを実感できるはずです。これまで力んで操作していたクラッチが指一本で操作できるようになったり、アクセルのレスポンスが良くなって微妙なコントロールがしやすくなったりします。この操作感の向上は、バイクを操る楽しさを再認識させてくれるでしょう。たかがワイヤー一本のメンテナンスですが、その効果は絶大です。高価なカスタムパーツを取り付ける前に、まずは愛車のコンディションを整えるという意味で、ワイヤー注油にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。自分でメンテナンスを行うことで、愛車への愛着もより一層深まるはずです。